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2018.9.18 東京入管面会記録

2018.9.18 東京入管面会記録

 

この日は連休明けの火曜日だったので、大変混んでいました。入管行きのバスもすぐには乗れず、2本見送ってからやっと乗る事ができました。

 

..Aさん(南アジア出身 女性)

 

「仮放免も難民申請も通らない。どうしてなのかわからない。

わたしは息子が保証人になってくれてるのだから、逃げたりするわけがない

品川に来て1年数か月入管はいったいどんな『信用』がほしいのか

わたしの脚がダメになったら、入管は責任をとってくれるのか

 

今飲んでる薬は、血圧の薬(※Aさんは収容されてから急激に血圧値が高くなり、150以上のことも多い)痛み止め、かゆみ止め、湿布など。

 

最近たまに、電気が流れるみたいに身体がしびれる。身体の具合が悪いけど寝られない

昨日は3~4時からずっと眠れなかった。担当を呼んだりしたけど寝られない

 

前から(※数ヶ月前から)脚が変でチカラが入らないけど

ここ最近は腰にもチカラが入らない

 

おなかにやけどの水ぶくれができて辛かった

あんまりひどい状態になったので外部の病院に連れて行ってもらった

そこで治療を受けたら、すぐに治った

前に脚をやけどしたときは、そのときもひどい状態だったけど病院に連れて行ってもらえず、自分で水ぶくれに穴をあけたりして、なんとか治した

 

(難民申請許可をもとめて)裁判したいけど、この中にいてはその証拠を集めることもできない。

わたしの家族は難民なのに、ぜんぜん認めてもらえない。

 

こんな国のことは聞いたことがない。

日本はひどい。

日本の入管はおかしい。

以前、UAEでオーバーステイになってしまった時は、オーバーした分だけ罰金を払えばそれでよかった。

 

オーバーステイした人を閉じ込めておいてなんになる? 外にいさせてくれたら、ちゃんと自分のことを自分でして暮らせるのに。

 

国に帰ったらきっと死んでしまう。でもここにいても結局死んでしまうかもしれない。」

 

Aさんは忍耐強い女性で、治療が必要な状態でも、他に困っている被収容者がいたら、順番をゆずったりするような人です。

そのAさんがこんなに「痛くて辛い」と訴えているのですから、入管側は適切な医療を受けさせるべきです。

もっといえば、Aさんはすでにかなり年配であり、この過酷な収容環境に耐えうる体力はありません。

すぐに解放するべきだと思います。

 

今回、差し入れにAさんの母国語で書いたカードを用意したら、すごく喜んでくれました。

よかった、また来ますと言って別れました。

 

..Mさん(東南アジア出身 女性)

 

Mさんは先日、わたしに手紙を送ってくれました。

入国管理局長にむけて、在留資格を求める手紙を送る、というのでその手紙の添削をしてほしい、ということでした。

その内容を相談することも今回の面会の目的でした。

 

「品川にきて十数か月。

 

最近、難民申請していた同じ地域出身の男性が2人、強制帰国させられた。

そのうちの1人は、帰国してすぐ空港でつかまってしまった。

わたしも、国に帰ったらそうされるかもしれない。

とても怖い。

 

この入管は、いつまで入っていれば分からなくて、それがとてもひどいと思う。

 

無期限収容。

入管に収容される直前まで、日本語学校に通っていた。

以前に手術したこともあって体調が悪く、ちゃんと出席することができなかった。

でも、そのことを日本語学校の先生に相談したところ「問題ない」といわれた。

でも、それは嘘だった。

出席日数が足りないことで学生ビザが取り消され、オーバーステイ状態になってしまった。

 

オーバーステイになるその日、日本語学校の先生に、一緒に入管へ来てくれるよう頼んだ。

でも、受付の時間が過ぎるまで待っても、来てくれなかった。

 

他国では、身体の具合が悪くて通学できなかった場合、もう一度チャンスをもらえる制度があるらしい。日本もそんなふうにできませんか?

 

いまの日本語レベルは「3」をクリアしたところ。

 

ここから出て、もう一度勉強をしたい。

よろしくお願いします。

 

..Hさん(西南アジア出身 男性)

 

前回お会いしたとき、オデコに青い湿布を貼っていたのですが、今回もまだ同じところに湿布があったので伺ったら、あの後、また倒れて同じ場所を怪我してしまった、とのことでした。

 

面会をとても喜んでくださいました。

 

「昨日は夜一時から眠れていない。気持ち悪くて、本当につらい。

毎日何回も吐いてしまう。血圧値はだいたい90前後

 

この間、同じブロックのクルド人兄弟が抗議をして、罰を受け、別ブロックに移されてしまった。

あの2人にはすごくお世話になったし、本当の兄弟のように感じている。心配だ。

 

胃が受けつけてくれなくてなにも食べれないので、液体栄養剤を飲んでいるが、それも全部吐いてしまう。

胃の薬、精神的な薬、痛み止め、いろいろあわせて15種類くらいの薬を出されて、それを全部飲んでいる。

 

でも、吐いてしまうので、意味があるのかはわからない。

 

39歳で身長は182cm。

以前は80kgくらいあったこともあるけど、いまは55kgになった。

今度、精神の病院に行ってみてもらうことになった。

 

2週間前に子供が生まれた。

小学生の娘にとっては弟にあたる、かわいい男の子。

妻が写真を送ってくれた。

とってもかわいい。

 

はやくここから出て、一緒に子供の面倒をみたい。

お産も危険な状態だったし、奥さんのことが心配。

手紙はきたけど、電話がつながらない。

 

この間まで、身体が辛すぎてほんとうに死んでしまうと思った

でも、子供たちのために生きたい。」

 

Hさんは、奥さんが送ってくれたというお子さん達の写真をみせてくれました。

娘さんが、赤ちゃんを抱いて笑っている写真。

キャラクターの柄の服を着せられた赤ちゃんがひとりで寝ている姿。

わたしが「かわいいですね」というと

Hさんは本当にうれしそうな表情で笑っていました。

 

Hさんは、許可なく居住区域外に出たということで入管につかまり、そのまま品川に収容されています。

しかし、その移動にはやむにやまれぬ事情があり、なにか悪いことをしていたわけでもありません。

Hさんには配慮の必要な持病があり、出産直前の妻と、小さな子供がいるにも関わらず、です。

入管は、人道的観点から見て、Hさんをすぐに解放するべきだと思います。

 

..Sさん(スリランカ出身女性)

 

同じスリランカコミュニティの友人が亡くなった。

でもここにいるので葬儀に関わることもできない、悲しい。

 

まだ若い人だったけど、急に亡くなってしまった。

でも他の友人たちは、気をつかってあまり詳しく教えてくれない。

次は自分の番じゃないかと、気にしてしまいそうだから、だと思う・

 

身体のあちこちが痛い。

(※Sさんは品川に収容された後に強皮症を発症しましたが、入管側はその治療をほとんど行っていません)

 

痛み止めが出されるけど、飲んでない。

飲むと、めまいがしたり、顔にブツブツが出たりするから。

 

睡眠薬を飲んでいるので一応は眠れるけど、身体がいたい。

指や腕が(※強皮症の症状で)傷になったり、堅くなったりしている。とてもいたい。

 

コーラック(※便秘薬)を飲まないと腸が動かないので飲んでいるけど、飲むとお腹がいっぱいになるので、ご飯を食べる気になれない。

 

一日三食パンを食べている。

1回1枚、一日3枚の食パン。

朝だけは牛乳がでる。

同じ時期に品川に入れられたスリランカ出身男性が、横浜に移されたらしい。

彼は品川→牛久→品川→横浜 と移されていて、なんでそんなふうにされるのかわからない。

彼は難民申請をしていたはずだけど。」

 

この面会の2日後、Sさんはスリランカに強制帰国させられてしまいました。

今はスリランカの病院に居て、「なぜこんなになるまで治療しなかったのか」などと聞かれているそうです。

これまで彼女が送ってくれた手紙の中には「ぜったいにあきらめません。外にでて、日本で暮らしたいです。」と何度も書いてありました。

複雑な手続きを踏んで、スリランカからわざわざ日本にきてくれた彼女に対して、入管はなぜあんな扱いをしたのでしょうか。

 

18日の面会では、これまで断られていた差し入れ品が受け付けてもらえて、不思議に思っていましたが、いまにして思えばあれは、強制帰国が決まっていたからこそだったのかもしれません。

とても悔しく、叫びだしたいような気持ちです。