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2019年4月16日(火)東京入国管理局 面会記録

チョラク・メメットさん トルコ出身

#FREEUSHIKU で彼を家族の元に返すことを訴える署名を集めたり、

面会を続けてきたトルコ出身のクルド人です。

トルコではクルド人は迫害されており、身の危険があったために難民条約に加盟している日本に助けを求めてきました。

 

3月12日、13日にはチョラクさんを病院へ連れて行くことを求める入管前抗議が行われました。その時はご家族や支援者が呼んだ救急車が2度、入管職員によって追い返されました。

 

『頭が痛い。痛みは消えない。ずっと同じ症状が続いています。そしてどんどん悪くなる。入管の医者はまともな診療をせず、同じ薬を出し続けるだけ。』

 

『奥さんは先週から来てません。3年前にパニック障害と診断されてて、先週、しばらく面談にはいかないようにとドクターストップが出されました。

多分、今日病院に行ってます。明日面談に来るかも。

19日は子どもたちの裁判があって、その裁判に出席しても大丈夫か聞くためです。』

 

Cさん「中での生活はどうですか?手伝ってくれる人はいます?」

『シャワーは椅子を借りてやってます。手伝ってくれる人はいるけど、ここの中の生活は大変』

『子どものための裁判は一年以上続く。最低でも一年はかかる。良い結果が出て、裁判所が子どもたちにビザを出すよう言っても、入管は裁判所の言うことを無視する』

 

Cさん「必要なものはありますか?」

『必要なものはない。早く出たい。今月中に。ゴールデンウィーク前に出たい』

『外は、今どうなっているのか、状況がわからない。今がいつなのか。活動がどうなってるのか。自分たちの声がどこまで届いてるのか。ちゃんと誰かに届いてるのか。先週日曜日にWさんに電話して、『議員を面会に来させて欲しいと伝えた』

『昨日、精神科へのアプリケーションを書くことすら入管職員に拒否された。入管は証拠を残したくないからそういうことをする。できる限りこの中のことについてのメモを残してる。ここで何が起きているのか。ここのことは何もかも間違っている』

 

Oさん「必要なら、ノートを差し入れましょうか?」

『差し入れてもらう必要はない。本当はもっと大きな人権団体がそういう心配をしなくちゃいけない。彼らは難民の面倒をみない。日本にある人権を守るためにあるはずの組織の中に、日本の中にある人権問題と向き合う人はいない。入管の中で起きていることを誰も調査できない。ひどい。すごくひどい。』

『日本人は日本のことだけ。世界に目を向けようとしない。日本人は自分たちのことも世界のことも何も知らないし、知ろうとしない。それは人間らしくない。人間らしく生きようとしていない』

 

『外に出たい。政府は何を考えてる?俺を閉じ込めて、家族をばらばらにして、目的は何?何のためにこんなことをしている? 何を望んで、1年2か月も3か月も閉じ込められてるんだ。どうしてこんなに長いあいだ引き離されてるのか』

 

『15年、ずっと日本にいて、難民として日本の質問に答えてきた。もう質問には答えない。これからはこっちが質問する。日本が答えるんだ。何が目的?』

『私たちがここにいてはいけないなら、なぜ私達の子どもたちは日本の学校で受け入れられて、日本語を母語として育っているんだ』

『なぜこんなことをする?いじめが目的としか考えられない。ほんとにひどい』

 

後記

面会の終わり際、たくさんの人に声が届くようがんばる、と伝えたら頷いてくださいました。

頷く以外の選択肢はないのだろうと思います…。

16日に法務委員会で外国人のことについて質問する予定だ、という議員さんのツイートを前日目にしていたので、面会の時にそのことを言いましたが、自分でもきちんと把握しておらず、ちゃんとした説明はできませんでした。

この日のチョラクさんからは、世の中で何が起きているのかを知りたいという、強い欲求を感じました。

 

入管の収容所内では、テレビを見ることはできますが、新聞は手に入りません。

以前は週に3回の買い物の際に購入できましたが、希望者が少ないという理由で、収容所内の売店での取り扱いが無くなったそうです。

収容される時に携帯もスマートフォンも取り上げられるし、被収容者が使えるパソコンなどのネット環境も入管の収容所には無い。

基本的人権のひとつである知る権利が、被収容者から奪われているのも問題だと思います。これは解放されさえすれば、ある程度解消することでもありますが。

 

チョラクさんは、相変わらず体は薄く、足取りは力無くおぼつかないようすでしたが、先週までの今にも死んでしまうのではと心配になるような雰囲気はありませんでした。でも動きはゆっくりで、思うように動けないぎこちなさはうかがえました。

 

ひどい圧力を受け続け、打ちひしがれてはいるけれど、家族のため、特に子ども達のために戦う気力を振り絞ろうとしている印象を受けました。情報を求めるのもそのためだと思います。

 

ちなみに、16日に法務委員会で質問したという議員さんは小川敏夫さん@OgawaToshioMP で、内容は日本で生きる外国人労働者のための保護政策についてでした。

https://twitter.com/OgawaToshioMP/status/1118004790552743937

 

同じ日に有田芳生先生も法務委員会で特定技能制度についての質問をしたそうです。

https://twitter.com/aritayoshifu/status/1118071380430299136

 

入管問題と繋がる話でもありますし、次回の面会でチョラクさんに伝えます。

他にも、入管問題や、入管に対する抗議に関する記事を読みたいとおっしゃっていたので、次回までにできる限り集めて差し入れます。

 

Jさん アジア出身 

 

『足りなくて困るものは、洗剤やテレフォンカード、シャンプー、ボディソープや石鹸ですね。石鹸が欲しいです。』

『4か月くらい睾丸に痛みがある。一回だけ病院へ行ったけど、そこの医者は「異常なし」って。あと、血圧がすごく低いんです。あんまり低いので、心配で記録をつけてるんですけど。入管は「大丈夫、大丈夫」ばっかりで』

『難民申請は、自分から取り消したのではなく、結婚する時に入管から取り消せという圧力をかけられた』

『パートナーはアジアの別の国の人で、彼女の子どもとは5歳の頃から一緒だった。この子は今はもっと大きくなってる。自分が収容所に入れられたことで、子どもも精神的に不安定になってしまっている。 学校のイベントとかで父親が参加できないと、周りの子どもから、「どうしてお父さんいないの?」と聞かれたり……。子どもにはそれがつらい。

妻もシングルマザー状態で仕事も子育てもひとりでしなくてはならないので、まいってしまっている。自分が外にいたら、せめて子どもの面倒だけでもみられるのに。

 

この子が入管に面会へ来るとき、いつも自分の仮放免を求める手紙を出してくれる。「どうしてお父さんを返してくれないんですか」と』

『この中で倒れた時に、懲罰房に入れられた。「様子を見るため」と言って。「様子を見る」ってなんだ。死んだら責任をもつのか』

『法律の変化とかある?』

Cさん「入管法は改正されたんですが、ここに入れられてる人に有利な法改正ではないです」

『捕まってる人間はなかなか出さないような改正?』

Cさん「日本にもういる人が、自分の力を発揮して生きるための法律ではないです」

『奥さんと子どものことばかり考えてる』

『中のことを外の人に話すと、入管はひどいことをしてくることがあるので、心配です』

Cさん「逆に公開されて、たくさんの人に知ってもらうことで良くなってきたこともあります。でも、ネットに上げないで欲しい話は、そう言ってください」

『仮放免申請を出して、大体2か月で結果がわかるのに、もっと時間がかかってるんです。どうしてかわかります?』

Cさん「今まで結果がなかなか出ない人は、良い結果だったことが多いです。保証はできないけれど」

 

『入管は奥さんを呼びつけて、自分が帰国する気はないかって聞いたそうです。そんな質問をするためだけにどうしてわざわざ呼びつけるんだって、彼女はすごく怒ったそうです。自分が外に出られると思って、子どもと一緒に来てたので……。絶対にあきらめない、何回でも仮放免申請を出すと怒って入管職員に言ったらしい。それって、影響あるでしょうか?』

Cさん「たぶん影響はないですよ。でも、心配になりますよね」

『自分で見てる感じだと、ひどい病気の人しか出られない。ここ(収容所のなか)でわざわざ(収容している人の体を)悪くしているみたい。自分も体の異常や痛みがあるのに、ろくに診察しない。医者と話してても、話をちゃんと聞かない。聞き流すだけみたいな感じ』

『プライバシー無いし、ストレスすごいですよ』

『吐いて、具合がすごく悪くなって、3回くらい病院に連れて行ってと頼んだ。でも、そうやって頼むと懲罰房に入れられる。懲罰房が嫌だから、具合が悪くなっても大丈夫だと嘘をつく』

『仮放免申請に時間がかかると、良い結果が多い?』

Cさん「なかなか結果が来ないと言っていた人が出られたとか、今までにもあったので…ダメだったら、ごめんなさい」

 

Pさん 中南米出身

 

Cさん「元気ですか?」

『んー、まあ、なんとなくね。元気?』

『外が寒い日はここも寒いけど、今日は大丈夫』

 

Cさん「なくて困ってるものとかあります?」

『洗剤がちょっと困る』

『子どもたちは、学校のない日や学校が早く終わる日には面会に来てくれるの。でも、30分アクリル板越しに話をするために来させるのがかわいそう。子ども達は本当にかわいそうだし、さみしい。会いたいけど、いっぱい来ると、もっと辛くなるかもしれない。だから、あんまり来なくていいよと言ってるの。パートナーはしょっちゅう来てくれる。大人だから大丈夫。』

『(仕切りのない部屋での)親子面会は、希望者が多すぎて順番がまわってこないの。二か月待ちとかになってる。誕生日に親子面会をしたかったけど、こんなに前から申し込みをしなきゃいけないって知らなくてだめだった』

『休みの時(休日や祝日、長期休暇)、面会もないと時間が長く感じる。

すごく長い。しかたない』

 

『ボサノバのCDありがとう。楽しかった。この中で仲良くなった人同士で、CDや本を交換したりするの。お互いに協力しあって、いろいろと気を紛らわせるのね。

前は交換するのに郵便で出してたんだけど、馬鹿らしくなって、今はたまに会えた時に交換するようにしてる。ここには母語を話す人は少ないの。私は英語も日本語もできるから不自由ないけど。でも、母語で話すのが一番ほっとする』

『80年代や90年代のイギリスやアメリカのロックが好き。母語でロックは難しいみたいで、母語だとあんまりいいロックは無いの。

クイーンも好き。最近人気よね。

スーパースターでなくてもいいバンドが沢山あって、好きなバンドもたくさんあるよ。アデルも好き。若い子はヒップホップとかラップも好きよね。私はあんまり。

言葉が汚いし、女性を欲望の対象のモノ扱いしてるのが嫌。聞いているだけで恥ずかしい。とても聞けない。それって愛がない。下品だし、サディスティックで嫌。

80年代や90年代に、大人たちはロックに顔をしかめてたものだけど、今の音楽の方がとんでもないわ』

『うちの子どもたちは、私の好きな曲が好き。私が聞くときに傍でいつも聞いていたからね。

子どもの写真、見せたっけ?見る?かわいいでしょ?

日焼けしてる方が素敵だと思うんだけど、本人は日焼けしたくないみたい。

子ども達大好き。だからがんばるしかない。この間、夢を見たの。

国にひとりきりでいて、ものすごい泣いてるの。どうしてか一人で帰って、子どもたちともう会えない、もう一緒にいられないって、ひたすら泣いてる夢。すごい泣いてた。たぶん、強制送還されたのね。

起きた時、夢だとわかってほっとした。ああ、私はここにいる。子どもたちと来週会えるかもしれない。電話もできる。

我慢しよう。子どもたちと離れられない。一緒にいたい。そのために何があっても我慢しようって思った。

ここに入れられて1年以上。我慢するしかない。

子どもたちが一番大変。かわいそうよ、本当に。

長くかかるだろうけど、我慢する。

子どもが卒業式のために入管に手紙を書いたの。「卒業式にママがいて欲しい」って。でもダメだった。後から電話で、「ママがいなくて寂しかった」って……』

『ここはjail、刑務所みたい。刑務所ではないけど』

『パートナーが日系だから、何もしなくても子どもたちは日本の市民になれると思ってた。だから弁護士に頼んでなかった。そのことを後悔してる。』

 

Pさん 南アジア出身

『中は暑くも寒くもない。まあまあ』

『血圧はいつも高い。ストレスがすごいある。たくさん考えることもあるし

脚の調子も悪い。きちんと薬も出してくれない。眼の薬を出してと頼んだら、「国に帰れ」と言ってきた』

『私たちは動物じゃない。動物だって私達より世話をされてる』

『仮放免が欲しくて、弁護士を立ててきちんと手順を踏んで申し込んでもダメ。

これ以上、どうすればいいの?

裁判を起こそうにも、私たちは難民なのに、どうやってそのお金を?』

 

『仮放免だって自由じゃない。House arrested、自宅軟禁状態、数年年以上その状態だった。

Human Rights、人権さえ保証してくれるなら、自分たちの世話は自分たちでできる。私達には頭も手足もある。自立してやっていける。

ただ道がほしいだけ。難民の証明をしたい。日本で普通に生きていたいだけ』

『買い物は週に三日、二日に一回できる。お金もあんまりないから大変』

『出たい、どうすれば出られる。仮放免がダメだった時、入管は「あなたが帰国したら、国には面倒を見てくれる人がいる。家やお金をくれるグループがある」と言った。

私は命の危険があるから国を出た。帰国すると命の危険がある。帰国した夫は音信不通になっている。彼の身に何が起きたのか、今生きているのかもわからない。

私は高確率で難民だ。ここから出られさえすれば証明もできる。

 

日本に来るとき、私はお金持ちだった。中東から生活のために貴金属やお金をたくさん持ってきた。お金は使い果たしてしまったし、貴金属はすべて質入れして残っていない』

 

『脚がしびれる。頭が痛む。入管は同じような薬を出すだけ。診察はしない。

医者は入管の言うことを聞いて「帰れ」と言うだけ。医者の仕事をしていない。医者の仕事をしないのに、なぜ医者と名乗っているの?』

『明日のこともわからない。どんどん体調の不安が大きくなる。

裁判を起こしても、今の裁判所は入管の望む判決しか出さなくなってる』

いつもは穏やかな微笑みを絶やさないPさんが、この日は泣きながら切々と訴えていました。

 

インタビュー:Cさん

書き起こし:Oさん

文責:Cさん、Oさん