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参院法務委員会における立憲民主党有田芳生議員の質疑概要_0515

有田:昨日(5/14)、牛久の東日本入管センターでブラジル人収容者が自殺を図った。この経過について聞く。

ワダ法務省入国管理局長:プライパシーの観点より詳細は差し控えるが、自傷事案認知後、適切に対処したと認識。

 

有田:この自殺未遂はなぜ起きたと分析しているか。収容者達より「もう限界」「助けて欲しい」との肉声が届いている。

ワダ:自殺案件の度ごとに調査を行い、原因を分析しているところ。

 

有田:自殺を図ったブラジル人の収容日数は?

ワダ:個別のかたの特定に関わることには答え差し控える。

有田:なぜ明らかにしないのか。

ワダ:死亡事案は公表している。本件は死亡の結果が発生せず。今後公表するか検討したい。

 

有田:ひと月前にも32歳のインド人が自殺したと聞く。詳細を。

ワダ:4/13にインド人被収容者の自殺事件が起きている。

有田:収容期間は?

ワダ:9ヶ月。

 

有田:亡くなったら明らかにし、未遂なら非公表はおかしい。H19年以降自殺者は何人か。

ワダ:5名。

有田:自殺者が出るのはなぜだと分析するか

ワダ:事案ごとに調査しているが原因特定は困難。

有田:検討分析するのが仕事じゃないのか。5人ですと言うが数の問題ではない。一人一人の人生がかかっている。分析するのが当たり前。

長期収容と自殺について因果関係の分析はしたことがあるか。

ワダ:自殺に至った経緯は断定できない。H19年以降さまざまなケースがあり、因果関係は断定できない。必ずしも長期収容との因果関係はないのではと考える。収容期間と自殺の関係は調査を検討する。

 

有田:多い人は2年3年収容と聞く。期間が長い人はどのぐらいか。

ワダ:東日本入国管理センター(牛久)の昨年末までの統計でいうと

3年以上=3名、2年半〜3年未満=8名、2年以上2年半未満=18名、1年半以上2年未満=59名、1年以上1年半未満=83名。

 

有田:収容者側からしたら収容期間がどのぐらいになるか判らない、これが精神的に最も追い込まれる理由と聞く。そういう声を聞いているのか。

ワダ:長期収容についての不満や仮放免の要望等、収容者からのさまざまな意見は聞いている。

有田:昨日自殺を図ったかたは8ヶ月。4/13に自殺したかたは9ヶ月。その人達の声を日常的に聞いていたか。

ワダ:収容にあたり苦情等なにかあれば聞いている。

 

有田:先月自殺されたかたの事案をきっかけにハンストが起きている。なぜハンストをしたか聞いているか。

ワダ:伺っている。亡くなったかたの追悼など喪に服するため等。

有田:昨日の未遂、先月の自殺の2件ともシャワー室で発生。防止対策はとっていなかったのか。

ワダ:シャワー室はプライバシー観点上なかなか見にくいが今後検討したい。

 

有田:長期収容は大きな問題と思うが、仮放免制度の柔軟な運用は今後検討するか。たとえばある収容者。妻が手術が必要となった。お子さんがいるためその間だけ出して、というのも聞き入れられない。そうした事例一つ一つに検討が必要。柔軟な対応を検討いただけないか。

 

ワダ:被収容者は退去強制令書が発布されており、その殆どが自らの意志で帰国を選択してるが、近年定住を意図して送還を拒否する被収容者が相当数存在し、収容期間が長期化している現状がある。退去強制手続きを経て令書が発布されているわけだから、あくまで我が国から送還することにより収容状態を終息させるべきと考える。がそのうえで治療が必要な場合や難民認定、行政訴訟の提起、旅券取得困難等、速やかな送還見込みが立たないような場合、人道上仮放免制度を弾力的に運用し、収容長期化をできるだけ避けるよう柔軟に対応していきたい。

有田:その言葉を実際に実施していただきたい。入管行政は前例を「踏襲」どころか「墨守」する傾向ありと見えてしまう。

 

その観点から次に医療問題について。過去5年間の死亡者数は?

ワダ:H25年以降5年間は6名。

有田:病死者だけだと5名だ。

3/25、47歳のベトナム人がクモ膜下出血で死亡。8日前から苦痛を訴えていた。これにどのような対応をしたか経過説明を。

ワダ:数日前から経過観察。3/25死亡確認。3/18から痛みを訴え、職員が話を聞く、休養室に移す、アイスノン貸与、など行っている。3/21に非常勤の医師に受診し薬を処方、その後休養室に移動。容体落ち着いたがその後再び容体変化。

有田:要はちゃんとした治療を受けていない。もう一つ。H26年3/30に43歳のカメルーン人男性が病死。法務省は「病死」と言っているが病名は?

ワダ:(6種の病名を挙げ)色々なものが複合し、合併症と承知している。

 

有田:厚労省に聞く。日本全体で40代の糖尿病による死亡者はどのぐらいか。

サカミツ厚労省政策統括官:2016年の数字をみると、糖尿病で亡くなるかたの割合は40代全体で10万人あたり10.8人。40〜44歳=1.0人、45〜49歳=1.7人。

有田:きわめて稀な状況ということ。入管の医療体制はあまりに貧弱。

 

有田:医療はどんな実態があるか。

ワダ:東日本入管センターは常勤医師を1名配置。ほか近隣医療機関と連携、非常勤医師が平日日中の庁内診療を実施、など。

 

有田:要するに体制が貧困。訴えがあったら外の病院に連れて行かねばならないが、すぐに連れて行ってもらえないという収容者達の声は多い。

外の病院に行く際、手錠をし腰縄を付ける。これはやり過ぎ。動物や犯罪人扱い。不満が出ている。通院に手錠や腰縄は必要か。

ワダ:保安上の理由により外部機関に連行時は使用が原則。状況により使用しないこともあり。手錠カバーをする等の配慮も。

有田:妊婦さんなどの女性にはしないわけで、男性の場合も人権的な配慮をしていただきたい。入管行政は国際人権基準に基づき批判されてきている。そのようなことのないよう改善を行うように。

 

大臣に。医療体制充実のため予算化を今後検討して欲しい。

上川法務大臣:収容者の心身に適切な対策は大変重要。日々努めているがまだまだということ。議員ご指摘のように人的物的体制の整備を努力してまいりたい。とりわけ常勤医師の確保については大変苦慮している状況。常勤看護師などについてもトータルな体制整備に努力しているが、心身の健康な状態を保っていくことは大変重要。充分な体制ができるよう最善の努力を払いたい。

 

有田:昨秋、北朝鮮船が松前に漂着した事案について。警察は経過説明を。

警察庁官房コジマ審議官:H28年11/28、北海道・松前小島に木造漂着船を発見。船長・乗組員のうち3名を逮捕。入管関係機関と連携し対応を実施したというもの。

有田:そのときの一人が結核と判明し病院へ。延べ100名を超える入国警備官が、逃亡しないよう病室の前で24時間きちんとみていた。改善しなければならない点も多いが、入国管理官はそういう地道な努力もしていることもぜひ多くの方に知られて欲しい。

 

(以上、@tokyo_sabako さんのまとめを、ご本人の許可を得て転載させていただきました。)