「移民が仕事を奪う」の嘘

移民労働者とこれまでの国内労働者を対立的に捉える発信が増えていますが、間違いです。対立的な捉え方が逆効果であることを指摘しますが、大前提として、#FREEUSHIKU は移住の自由を肯定します。それは誰にとってどういう効果があるか以前の問題です。そのうえで効果の話をします。

 

第一に、移民労働者が「常に」従来の国内労働者の賃金を下げたり雇用を置き換えたりするという説は、労働経済学のコンセンサスではありません。逆に国内労働者にとって便益が生まれる場合があるという指摘も少なくありません。

 

労働者不足により事業が成り立たなくなって雇用の場が消える、多様性がなくイノベーションが起きないために新規雇用が生まれない、あるいは個人消費マーケットの縮小という状況では特に、権利をもった移民労働者の増加が国内労働者の機会改善に貢献することがあります。

 

第二に、確実に移民労働者が入国する状況で、移民を敵視して権利を奪えば、今後の移民労働者の賃金がさらに下がるのは当然です。そうなれば、国内労働者の賃金も競合によって下がります。移民労働者を敵視することは、これまでの国内労働者にとっても自殺行為です。

 

これは、企業が労働コストを削減する際に意識的に「壁」をつくり、「壁」の内と外で労働者を競わせて、全体として賃金コストを抑える方法です。賃下げを警戒する労働者が移民の賃下げにつながる政策をもとめることは不合理でしかありません。

 

ではどうすればよいのでしょうか。

 

すでに日本で暮らしてきた移民であったり、移民ではなかったり、最近あるいはこれから日本に来る移民であったりする、「この社会で働く私たち」はどうすればよいのか。

 

第一に、雇用側に対して移民労働者とそうでない労働者が連帯し、ユニオン活動を行うことです。これが賃金を上げる道です。繰り返しますが移民労働者を敵視すれば働く人全員が確実に負けます。移民排斥運動によって社会全体が住みやすくなった国は存在しません。

 

第二に、移民労働者の在留資格がより安定した定住に結びつくような制度を国にもとめることです。定住可能性がなければ安定したメンバーシップも生まれません。各政党の移民政策を確認したうえで、つぎの選挙に行きましょう。

 

第三に、すでに国内に居住してきたにもかかわらず参政権をはじめとするシティズンシップを否定されていたり、在留資格を得られず非正規化された移民の人々を支援し、権利回復をもとめることです。#FREEUSHIKU は上述の大前提に立ったうえで、第二と第三の運動にとりくんでいます。