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2018.10.17東京入管面会記録

 

品川入管はいつにもまして重苦しい雰囲気でした。明るく笑顔なのは入管職員たちだけ。

ここ最近、仮放免がほとんど出なくなっていること、ムリヤリ(※強制送還)が相次いでいることを受け、多くの被収容者が精神的に追い詰められているようです。

 

..Mさん(東南アジア出身女性)

 

「扱いがあまりにひどいので職員に言った。人権侵害じゃないかと。

そしたら『あなたたちにだから、べつにひどくない』と言われた。

わたしたちは殺されているような感じだと思う。

まるで動物みたいに扱われる。なんの自由もなく、辛い。

何も欲しいものはない。ただ、仮放免を出してくれたらそれでいい。

難民申請と仮放免申請を出している。母国は『難民申請者』を嫌っている。難民申請者は国の評判を落とす人だから。わたしも難民申請を出したので、母国に帰されたらたぶん空港で捕まってしまう。こないだ強制送還された知り合いも空港で捕まってしまった。

母国は貧しいので日本の教育にあこがれて来た。

できることなら日本の大学に通って、専門知識を学びたかった。

故郷は内戦で危険な状態なので、日本で働いて暮らして生きたいと思っていた。

でも日本語学校で騙されてしまった。そのせいで学生ビザの資格を失い、ここに収容された。

親や兄弟、親戚友人からお金を借りて日本に来た。仕事して貯めたお金も全部使った。

日本に夢と希望があると思っていた。でも今は夢も希望も殺された。

まだ諦めたくない。でもどうすればいいかわからない。」

 

..Aさん(南アジア出身女性)

 

「息子さんから職員に話をしてもらって、やっと外の病院で検査を受けられることになった。前に手術した婦人科系がまた悪くなっている気がする。

ガンの家系でもあるのでそれも検査しなくちゃいけない。

ここで出される薬は、飲むと頭が痛くなったりフラフラしたりするので飲みたくない。少なくするようにしてる。そのおかげでか、以前よりは血圧が低い。前は160とか180とかだったけど今は140前後。難民申請と仮放免申請どちらもダメだった。

裁判で訴えたいが、この中にいると証拠を集めることも難しいし、お金もどんどん無くなってしまう。

今はコーヒーを買って飲むのも考えてしまう。

首も肩も痛い。

腰も脚も膝も痛いし、左半身は全体的にしびれるように痛む。

でも、みんな病院を待っているから、我慢している。歯にも問題があるけど、ずっと病院を待っている。

息子が時々面会にきてくれるけど、遠いから交通費だけで1万円かかる。それに息子は風邪をひいて体調が悪い。それも心配。

最近いろんなものを忘れてしまう。頭の具合がおかしくなっているようで、怖い。

明日どうなるのかもわからない。」

 

..Hさん(中東出身クルド人男性)

 

「先週、仮放免がダメになった。それでパニックになって、職員に大声で叫んだ。

そうしたら懲罰房に4日間入れられた。監視カメラがついてるひとりの部屋、

食事もほとんど摂れなかった。

お兄さんは、本当に壊れてしまった。

いまは外の病院に連れて行かれたけど、とても心配。

ここに入ったことで会社も倒産し、高校生の息子さんも学校をやめさせられてしまった。

この間、自分の妻と子供がここ(品川入管)に来たけど、会うことはできなかった。

妻も自分と同じく難民申請を出しているので、そのインタビューのために来た。面会受付の時間に間に合わなくて、会えなかったのは残念だった。

そのインタビューにはトルコ語の通訳がついたのだけど、妻はクルド語しか話せないので、うまく事情を伝えることができなかったみたいだ。

妻はトルコ語も日本語もをほとんど話せなくて、クルド語しか話せない。クルド語の通訳を頼むか、自分を同席させて欲しかった。自分もおにいさんもトルコ語を上手に使えるから。

トルコのことは嫌いだから、本当に必要な時以外は絶対に使わないけど。」

 

面会時間の別れる際になんと声をかけるべきか、いつも迷ってしまいます。

「がんばって」これ以上なにを頑張れるというのか?

「身体に気をつけて」どうやって?

「さようなら」そっけない感じを与えないか?

 

いろいろ考えて結局は、「また来ます」という挨拶で別れることが多いです。わたしの場合。

でも、本当の気持ちを言えば、もうこんなところで会いたくはないのです。

できることならば、次にわたしが行くときには外で家族と暮らしていてほしいな、といつも思います。

そう思うからこそ、まるで次回もここにいることが前提であるかのような「また来ます」は、言いながら結構苦しいです。

かといって、「次は出られてるといいですね」というセリフは、余計なプレッシャーになりそうで口に出せませんし、すっきりした答えは見つかりません。

そもそもこの施設のシステム自体が、不明瞭でスッキリしないものである以上、このモヤモヤが晴れるはずもないのかもしれません。

 

「また来ます。」と彼らに言いながら、心の中でそっと(でも明日にでもここから出られることを祈っています)(どうかお身体に気をつけて)とつぶやきます。

部屋を出るときには、自分の無力さに押しつぶされそうで涙が出てきます。なんでこんなに困っている人がいるのに、わたしには何もできないのか?悔しくてたまりません。

この国における『入管法』という無駄で最低最悪なシステムをどうにかしなければいけないと強く思います。

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