この日に面会した方のうちの一人が、3月12日(金)〜翌13日(土)に救急搬送を求めたチョラク・メメットさんでした。
●CoLAK MEHMET (チョラク・メメット)さん
トルコ国籍、クルド人、男性
『薬効かない。眠れない。本当は入院が必要。ここから出て入院するのが一番の希望』
『最近は眠れない。怖くて眠れない。ストレスが心臓に悪い影響を与えてると感じてる。食欲もない。水は飲める』
『奥さんは毎日来てる。今も来てる。奥さんは泣いてる』
『明日(27日)には子どもたちも。家族全員で来る』
『ただ健康を取り戻したい。健康に生きたい。ここから出て、健康を取り戻し、子ども達の(在留資格の)ための裁判では近くに立って見守りたい。勝ちたい』
『緊急入院が必要。国会議員に動いて欲しい。入管は自分の訴えを信じてない。嘘だと思ってる。嘘など一切無い』
『国会議員は物事を動かす力を持っているのだから、この国で暮らす人間の命のために動いて欲しい。私たちはこの国で人権を無視されている』
『倒れてから2週間経つ。なのに動きがない。国会議員たちはなぜ来ようとしてくれないの…?』
『夜中に多くの人が入管前に集まった、夜通しいた人たちもいた、法務省前でも200人の抗議があったというのに、入管の中でいま何が起きているかを、なんで彼らは確かめに来ない?日本人の問題じゃないから?』
『せめて健康であれば…。ここに来て健康を失ってしまった。日本のやり方はいやがらせそのもの。心が狭い』
『国連の報告によると、日本で生きる人の幸福度は58位。他者への寛容度は92位。日本は自由で民主的な国のはずなのに、全然自由じゃないし、幸福度も低いです』
『(精神科医にしか診てもらえないから) 精神的におかしいという診断がでない限り、ここから出ることが出来ない。こんなひどい人権違反が起きているのに、議員はなぜ動いてくれないの?ここは収容所じゃない。監禁所だ。収容所であれば許されるような自由も、ここには無い』
『入管に来て診療をするドクターの名前すらわからない』
面会者「それでは医師の責任を問えませんね」
『自分に何かあってから、責任を取らせても意味無い。ひどくなる前にどうにかしないと』
『入管の中のことは、すべてこの中の人間に任されている。全て。救急隊員もそうだけど、弁護士ですら力になることが出来ない。2週間、私はここで死んでる。助けを求めている。議員は動いてくれない。ここの人権侵害の実態に目を塞いでいる』
『こんなにいじめるくらいなら最初から入国させないで。北朝鮮みたいに誰も入れないと予め決めてくれてる方がまだいい (選ばなくて済むから)。外国人をこんなにいじめる必要はないよ…』
『出来ることなら国会議員と直接面会したい。面会に来て欲しい。誰でもいい』
面会者「国会議員に入管問題についてロビイングをして働きかけている人もいるし、これからも続けます」
『(呟くように)…お願いします』
自分の足で歩いて面会の席まで来ましたが、よろよろとした足取りでした。顔は青白く伏し目がちで、まなざしにも力が無かったです。ずっと背中は丸まっており、つらそうに壁にもたれかかったり、仕切りの土台(小さなノート程度なら置くことの出来る幅のテーブル状になっている)に突っ伏してしまうことも。明らかに自力で体を支えるのが難しい様子でした。
彼とは以前にも面会をしたことがあるのですが、すっかり痩せてしまって身体が薄くなったように見えたので、強いショックを受けました。
『倒れてからひどくなっちゃった。2~3ヵ月前は元気だった』
面会者「必要なものはありますか?」
『必要なものはない。生きるのに精一杯。ちゃんとした病院で入院させて欲しい。正式な病名を知りたいのに、(入管内の)精神科の医師しか診てくれなくて、抗不安薬を出されてそれで終わり』
『どんなに体調が悪いことを訴えても、治療はしない。検査もしない。病院にもつれていかない。嘘をついていると思っているから』
『入管は救急車を呼ばない。心配してくれた人が呼んでも追い返す』
『13日に病院へ連れていかれたときは、脳梗塞の検査を受けた。脱水症状があると言われたけど、点滴もなくそのまま入管へ戻された』
『身の回りのことは、周りの人が手伝ってくれる。でも、あまりコミュニケーションは取れていない。同じブロックの知り合いに、来てくれないか頼んでいるが、来てくれない』
●Zさん 南アジア出身、男性
こちらの方の面会は、まず基本情報の確認から始めました。
1.氏名:Z (仮名)
2.性別:男性
3.生年月日:- (満34歳)
4.国籍:- (南アジア圏)
5.収容中の施設名:東京入国管理局
6.難民申請の有無:難民申請をしている。
7.入国時期:2015年12月~
8.収容回数と期間:収容されたのは今回が初めて。期間は9か月になる。
9.仮放免申請の回数:仮放免申請をしたことはない。友達が保証人になってくれるかどうか分からないから。
『心の病気の薬を出されている。薬を飲んでも変わらない』
(=本来なら内科や外科、神経科など然るべき専門医に罹るべきところを、入管内にいる非常勤の精神科医に診てもらうことしか出来ない)
『夜は眠れない』
『入管の弁当は、量が少なくてお腹がすくし、とにかく味がまずい。あと毎日食べ物が同じ。唐揚げかコロッケ。今は豚肉も牛肉も出ない。鶏肉だけ。もともと仏教徒なので、牛肉が出てた時期は食べなかった』
『アーティストなので、今も絵を描いている』
と、彼は入管の窓から見た景色の絵や、橋の絵などを見せてくれました。
『(収容エリアの)Tブロックにいた頃は窓から品川の海が見えたから海の景色の絵、今いるIブロックからは橋しか見えないので、橋の絵を描いてる』
『以前は写真も撮っていて、ポートレート(風景写真)を撮るのが好きだった。手前の被写体と、遠くの景色との対比が上手に出ている写真が好きだ』
更に聞いてみると、犬や猫、鳥、木なら紅葉の景色など、動植物をモチーフにして撮るのも好きだったようです。
『今はここにいるし写真を撮ることは出来ないけど、絵は描き続けたいので、黒のペンとノートが欲しい』
と、彼からリクエストを受けました。それから、少し遠慮がちながら『写真の雑誌を読みたい』とおっしゃっていたので、次の面会にアサヒカメラを差し入れます。
ノートについては「絵をかくなら線の無いものがいいですね」と話しており、そちらもやはりペンや雑誌と同様に、次回面会の際に差し入れる予定です。
『運動は一応してる。ゆっくり動く程度』
『ボールがあるので、よくサッカーをするよ』
『お金があった時は、収容されてる他の人から辞書を買って漢字を勉強してた』
そう言いながらZさんはノートを開き、漢字の勉強をしているページを見せてくださいました。漢字をきれいに書けるように、何度も何度も練習していらっしゃいました。
『母国語の本を読みたい。もし母国語の本が無かったなら、ひらがなとカタカナであれば読むことが出来るので、子ども向けの本とかでも』
『本のジャンルはバイオグラフィー(伝記)が好き。アップルやフェイスブックを作った人たちにとても興味がある』
Zさんは、アートや写真の話をしている時は楽しげで、言葉にも熱意がこもっているように感じました。
インタビュー:C
書き起こし:O
文責:C、O
校正:L